繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 あまりにもはっきり口に出して比べてしまったせいで、テオドルにも私の本当の気持ちが伝わってしまったのではないかと急に恥ずかしくなった。

「それなら、俺だって同じで」
「そ、そう! それよ。テオドルと似てて! それに身分も釣り合うの」
「身分……」
「だからその、えーっと、とにかく私が婿を取ればこの家にいられるわ。これからもずっとテオドルと一緒にいれるっていうか」

(ひぃ、ダメだわ、誤魔化そうとすればするほど墓穴を掘るんだけど!)

 羞恥心を隠すように言葉を重ねれば重ねるほどいらないことを口走り、気が動転してしまう。
 焦りながら後退ると、バルコニーの手すりに腰が触れた。

「……つまり、貴女が他の誰かと家庭を築く姿を俺にずっと見ていろということですか」
「え?」
「それも、貴女を道具に思っているようなやつと……?」
「テオドル?」
「そんなの、ダメだ、誰よりも幸せになってくれないと耐えられない」
「何を言って――、きゃっ!?」
「ソフィ!?」

(あ、私の名前……)

 どうやら私は後ろに下がりすぎたのだろう。
 反転する上下の中でそんなことだけが気になった。
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