繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 回帰ものの物語の主人公は、巻き戻る前の記憶を頼りに未来を変える努力をする。

「まさか物語的に言えば主人公って、テオドルなの?」

 私は彼が望む未来を手に入れるための犠牲ということなのだろうか。
 なら、彼の望みとは?

 混乱しズキズキと頭が痛む。
 まるでついさっき打った頭が痛んでいるようだった。

「むしろ私、ただの生贄……?」

 わからない。わからないけど、ちゃんと考えなくてはまたどこかのタイミングで殺されてしまうかもしれない。

 うぅん、と頭を抱えながら思わず唸り声をあげる。

「ソフィ様!」

 どうやらリーヤが準備を終えて呼びに来てくれたらしかった。

(あぁ、でもダメ、頭が痛いわ)

 パタパタと駆け寄るリーヤの足音を聞きながら、私はそのまま目を閉じたのだった。
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