繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 まだ十六という年齢のため体躯は未完成ではあるものの、それでもしっかり鍛えているのかエスコートしてくれた時に触れた腕は筋肉質で固かった。
 きっと脱いだら凄く素敵――なんて考えが一瞬芽生えて、慌てて顔を左右に振る。

(兄妹! 今の私たちは兄妹なんだから!)

 いくら血が繋がっていなかったとしても、禁断とされる部類だ。
 しかも恋人同士ではなく私の片想い。
 
 でも、兄妹だからこそ今は堂々と側にいれるのだ。
 そう思うと、折角なら今のポジションを楽しまなくちゃ損な気がした。

(どうせ殺させないために親しくなるつもりだったもの)

 彼の目的を知らなくては回避は出来ない。
 そう、私は私が殺されないために、そしてテオドルに殺させないために彼の側にいなくてはならないのだ。

「こっちのもどうだ?」
「食べる!」

 再び彼がクッキーをひとつ摘まんで差し出してくれる。
 そしてそのまま彼にクッキーを食べさせて貰うのも、全て親しくなるという大義名分の為なのだ。

 ◇◇◇

 ふたりきりのティータイムを堪能した私は、父に呼び出され執務室へ向かう。

「何の話かしら」
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