繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
　それとも駆け落ち先でテオドルに殺された？　なんのために？

　どうしてもその瞬間が思い出せないが、けれど彼が泣いていたことだけは覚えている。
　私の意識が途切れる瞬間、彼はいつも何よりも悲しそうに涙を浮かべているのだから。

「考えても、答えは出ないわね」

　三回目でやっと思い出したのだ。だがそれは逆に言えばそれまで何故か思い出せなかったともいえる。
　つまりきっと、今考えてもわからないものはわからない。そんな気がした。

　今わかるのは、私たちが恋人ではなく兄妹ということだ。
　彼と恋人じゃないということは悲しいが、恋人だった時から三回も死んだのだ。
　今はまた恋人に戻りたいというより、今度こそ平穏に生きたいという気持ちの方が強い。

（その平穏な人生に、兄としてのテオドルがいるなら、やっぱり悪くないわね）

　家族として一緒に食事をし、出かけ、今日みたいに散歩をする。
　最初に望んだ家族の形ではないが、家族であることには変わりない。

　ならばやはり、私に出来るのはテオドルともっと親しくなり、彼が回帰しようとする原因を突きとめることだとそう思った。
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