繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 だからこそこうしてリーヤも一緒にいて、私たちが長時間ふたりきりにならないようにしてくれているとわかっている。の、だが。

「だって居心地いいんだもの」
「そう言って貰えて嬉しいよ。はい、オレンジも剥いたから」
「わ、ありがとう!」

 紅茶の香り付けに一切れだけ紅茶に受けせ、残りのオレンジはそのまま口に運ぶ。
 少し酸味のある果肉が口内で弾けて爽やかだ。

「もう、すっかり甘やかされて……」

 オレンジを乗せたお皿の横に今度は一粒ずつ皮を剥いたブドウも置かれる。
 それらのフルーツを渡されるがままにこにこと食べる私と、そんな私の為にせっせとフルーツを剥いては食べている私を微笑ましそうに眺めるテオドルというこの構図はスクヴィス伯爵家ではすっかり定番の光景になってしまっていた。

 呆れたようにため息を吐くリーヤにテオドルが剥いてくれたブドウを一粒差し出すと、困ったように彼女が顔を左右に振る。

「遠慮しなくていいのよ? 私たちの仲じゃない」

 気心の知れた間柄なのだ、もちろん他にお客様がいる時には出来ないが、今は私たち三人だけ。
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