繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 だから、もしかしたら。そんな甘い妄想が私の心をくすぐる。

「それから、これ」

 突然渡された小さな長方形の箱にドキリとした。
 このサイズならもしかしてテオドルの瞳のような真っ赤な宝石のついたネックレスかも、なんてわくわくしながら開けるが、中に入っていたのは私の髪と同じ色のガラスペン。

「キレイ……!」

 明かりに透かしてみると、透き通ったピンクがキラキラと輝いて宝石のように見える。
 好きな人から身に着けるアクセサリーを貰うというのは乙女のひとつの夢ではあるが、それ以上に私のために選んでくれただろうこのペンがとても嬉しかった。

「貰っていいの? 嬉しい!」

(それに光に透かすと太陽光の下で見るテオドルの瞳と同じだわ)

 そう思うとそのガラスペンがより一層特別な物に感じる。
 喜ぶ私を見たテオドルの頬もじわりと赤く染まっており、今私は大好きな色に囲まれているのだと思った。

「遅くなったけど、成人おめでとう」
「うん、ありがとうお義兄様……!」

 少し照れながら祝ってくれる彼が可愛く、そして堪らなく愛おしい。
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