繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
(このパターン、過去に一回あったわね)

 あの時は二十歳だったので猶予まであと二年あるはずだが、こうやって毎回色々変わるのだ。
 まさかまた違うルートから借金を作り、私が嫁ぐことになるのではないかと思うと気が重い。
 だが、どこか沈んだ気持ちで向かった執務室で言われたのは私の想像と半分だけ正解の内容だった。

「実はソフィに婚約申込が届いていてね」
「えっ、そ、それってまさか私より四十年上のハゲつるぴんじゃないですよね!?」
「ンンッ、ソフィ。その人は違うが、家の中だからと個人を特定する暴言はよくないぞ」

(テレーゼ子爵じゃないのね)

「では評判最高で取り合いになるほどの人気家庭教師の野望と下心のある三男ですか?」
「ンンンッ、ソフィ。彼がそんなに野望に溢れていたとは知らなかったがその令息でもない」
「じゃあ、誰……?」

 スウェン先生でもなかったことに唖然している私に告げられた名前は、全然知らない侯爵家の令息の名前だった。
 なんでもデビュタントの夜会で私を見初めてくださったらしく、今回の申し込みに繋がったらしい。
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