繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
(テオドル)

 二回目ね、なんて笑ったら彼も笑ってくれるのだろうか。
 そんな事を呑気に考えている自分に笑ってしまう。

「私を、殺すの?」
「はい」

 ハッキリとそう言ったテオドルが私の寝ているベッドへと上がる。
 彼の腰にはナイフが見えたので、今度はそれで胸を一突きにされるのかと思ったのだが、何故かテオドルは私の首に両手をかけた。
 
「抵抗しないのか」

 体重がかけられ、ミシミシと首から音がする。
 首を振って否定したいのに、押さえつけられているせいで上手く動かせなかったので私はただ微笑んでいた。

「泣かせたいわけじゃないんだ」
(泣いてなんかいないわ)
「ただ幸せになってくれれば」
(貴方以外との幸せなんて意味ないもの)
「どうするのが、正解なんだ……」
(答えなんてきっとないの)

 その赤い瞳がじわりと潤む様子を薄れつつある意識でぼんやりと眺める。
 泣かせたいわけじゃない、なんて言いながら泣きそうになっているのはテオドルの方だった。
 また彼を泣かせてしまったという悲しみが私の胸に溢れ、その事実から目を逸らすように目を閉じる。
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