繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件

12.全て諦めないという決意

「いっ、やあぁぁあ!」

 ガバッと飛び起きると全身がぐっしょりするくらい汗をかいている。

(また巻き戻ったんだわ)

 バクバクと激しく鳴る鼓動を落ち着かせつつ、何歳の時に戻ったのか確認しようと鏡を見た私は、自分のその姿に愕然とした。

「こ、ども……?」

 ハッとして慌ててバルコニーへ出ると、そこは見晴らしのいい二階ではなく一階だった。
 我が家のバルコニーの手すりにある格子の幅が少し広く、その為格子からすり抜けて落下しないよう十歳頃まで一階の部屋を使っていた。
 つまり今の私は、まだ二階の部屋へ移る前の十歳未満ということだ。

(どうして巻き戻る時間が少しずつ長くなるの?)

 巻き戻りには魔法を発動するための膨大な魔力が必要だ。
 そして人は繰り返し限界まで魔力を使い続ければ徐々に使用領域が増える。それも、死ぬほどの状況を繰り返せば、だ。

「テオドルが回帰の魔法をかけているのは間違いないわ」

 それも私の幸せのために。
 そして回帰するために何度も死んだから彼の魔力の使用領域が増えて、戻る時間が長くなっていると考えれば辻褄が合う。
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