繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
(次回帰したら、生まれる前まで戻ってしまうかも)

 もしそうなったら、また私が産まれるとは限らないし、戻る前の世界を覚えている保証もない。
 自分がこの世にいない世界線を想像しゾッとした。
 私が私として戻れるのはきっとこれが最後だろう。

「テオドルに会わなきゃ」

 私の幸せを願っているテオドル。
 そして私の幸せとは、やっぱりどう考えても彼といることだから。

(また殺されたのに、私って本当にバカね)

 だがそうなのだから仕方ない。何度殺されても好きなのだ。
 騎士として守ってくれる彼も、執事として支えてくれる彼も、兄として一緒に過ごす彼も好きだった。
 でも私が一番好きだったのは、庭師の彼だ。

 許されないとわかっていても、祝福されない恋だと知っていても止められず彼と体を重ねようとした。
 あの時だけは、私を殺したのはテオドルではなかった。

(きっと私を生き返らせる為にテオドルが魔法を発動させたんだわ)

 騎士に殺されたから戦って守れるように騎士になったのだろう。そして私が借金のカタにされたことを知って次は執事になり内政を、家庭教師に利用されないように兄になったのだ。
< 91 / 126 >

この作品をシェア

pagetop