繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 気付いてしまえばとても簡単なことで、彼の行動原理は全て『私のため』だった。

「でも貴方もバカよ、私を幸せに出来るのは貴方だけなんだから」

 庭師のままでよかった。今度こそ完璧に駆け落ちすればよかったのに、彼は守る側へと移ってしまった。
 でも大丈夫。今度の私は全部を覚えている。
 ならば、私自身が幸せになりにいけばいいのだ。

「待ってなさい、テオドル……!」

 私はそう決意を固めたのだった。

 ◇◇◇

 まず私がしたのはリーヤを専属侍女にすることだった。
 彼女がいくら優秀だとしても私が十歳ならば、まだ十四歳。
 専属になるには少し若い年齢ではあるが、私のために泣いてくれる彼女のことを一番信頼しているのだから少々若いくらいは問題ないだろう。

 そしてこれからの方向性も決めた。と言ってもそんなに難しいことではなく、まず勉強を頑張るというだけである。

(能力をつければ、私が執務に関わることも出来るわ)

 そうすれば将来借金を作る前に止められる。
 それに実力があれば、結婚相手を政略で選ばなくてもいいかもしれない。
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