繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
「ソフィ、掴まれた腕はどうするんだった?」
「掴まれたまま両手を握り、自分の肩目掛けて引き抜きます!」
「うん、いいわね!」

 その新しい先生は既に四十を過ぎているがとてもパワフルな人で、これからの時代は守られるのではなく女性も戦う時代だと、勉強の合間に簡単な護身術も教えてくれている。
 これでも四回死んでいる身だ。ある意味私もプロみたいなものだが、今回こそは生きると決めたので彼女の申し出はとてもありがたかった。

(というか、体を動かすのって結構楽しいのね)

 騎士として訓練していたテオドルを見るのが好きだったことを思い出し、あの時の彼も楽しかったのかしら、なんて考える。
 勉強だって楽しい。今なら執事だったテオドルと一緒に父を支えることが出来たのだろうか。
 義兄だったテオドルと家族として過ごした時間はとても甘くて、庭師だった彼と本当はこうやって過ごしたかったのだと思い知らされた。

「――すべての貴方を諦めないわ」

 今度の私は逃げ出しもしないし、殺してと願うことも、彼へ手を伸ばすこともやめない。もちろん、家族として過ごすことだって諦めないのだ。

(だから、待っていてね)
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