繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 私は口元に両手を当てて驚いた表情を作った。

「まぁ……! そうでしたの、こんなに格好いい方だったのなら断らなかったら良かったわ」

 私の言い方がお気に召したのか、先生の表情が少しだけ表情を和らぐ。
 そのあまりの単純さに、男ってみんなこうなのかしら、なんて少し呆れてしまった。

「それでその先生が一体何の用でしょう?」
「あ、その……、今からでも僕を雇う気はありませんか?」
「え?」

(まさか後をつけた理由が売込みなの?)

 そんなことをしなくても、前の人生で先生はかなり人気の先生だった。
 雇用側ではなく先生が選ぶ側だったし、何故私が選ばれたのか疑問に思ったほど。
 確かに今回は家庭教師を断ったが、それ以外に何もしておらず、だからこそ、彼が回帰をきっかけに不人気になったとは思えない。

 婿入り先に我が伯爵家が丁度いいこともわかっているが、この国にいる令嬢は私だけではないのだ。
 野心もあるが実力もある先生ならもっと良縁を結べると思うのだが……事態はそう簡単ではなかったらしい。

「実は教える前から断られたせいで、僕に何か問題があるのではと誰も雇って貰えなくなったんです」
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