幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】

そう言うと、彼は少し躊躇ったあと、

「オリエちゃん。そのオープンなところは、あなたの長所だと思う。でも、もっと警戒しないとダメだよ」

真剣な眼差しで言った。

「警戒ですか？」

「そう。幸い、僕は理性のあるほうだと自負しているけれど、あわよくば…と思う男は腐る程いる。オープンすぎると酷い目に遭うかもしれないから、心配なんだ」

私は、そういったことに鈍かったので、夏川さんが注意してくれたことに感謝し、それ以来、言動には気をつけているつもりだ。

どのみち、部屋に誰も入れたくないのは、相手が誰でも同じなのだが…。

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夏川さんとは、障害者施設の職員と単発ボランティアという関係だけで終わることはなかった。

「オリエちゃんって、今まで知り合ったことのないタイプで面白いなぁ。もっと色々話してみたい」