幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
サラリと尋ねられ、連絡先を交換した私たちは、少し年の離れた友達になった。

一緒に過ごす内に、夏川さんのことをもっと知りたいだとか、彼の恋人の存在も、知りたいのに知りたくない…そんな気持ちになり始めた私。

もしかして、これが恋というものなのだろうか?

18年もの間、一度もリアルに恋愛感情を持ったことがないので、自分でもよくわからなかった。

わからないまま告白するなんて、あまりに無責任なので、何も言えないまま、その後も二人きりで何度も出掛けた。

誰かと一緒に居て、それだけで幸せだとか、会えない時間が淋しいとか、存在するかどうかもわからない恋人に嫉妬するなんて、何もかもが全く初めての感情だ。

夏川さんは、年上ということもあって、いつも余裕を感じられる。

私だけが余裕をなくして、少し悔しいとも思う。
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