幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
発達障害というと、不注意だったり、こだわりが強かったり、感覚過敏があったり。

これまでずっと、私だけでなく、誰もがそうだと思っていた。

ふと、部屋の電話が点滅していることに気付く。

思えば、突然ベルが鳴るのが嫌いだったり、ケータイを持ちたくなくて、電話といったら固定電話しかないことも、変わっていると言われがちだ。

「もしもし、オリエちゃん?」

受話器の向こうから聞こえる愛しい声に、不思議なほどホッとする。

「夏川さん。検査結果が出たの。やっぱりADHDとASDだって」

「そっか…。声に元気がないけど、ショックだった?」

「うーん…確かにショックとも言えるし、やっぱりそうだったのか、納得だな、とも言えるかな」
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