幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
人間関係がうまく築けない私だって、一方的に与えるだけ、受け取るだけという関係ならば、いつか壊れてしまってもおかしくないことぐらいはわかる。

夏川さんのことを世界中の誰よりも愛していると言い切れるのに、私は夏川さんに何もしてあげられていない。

それこそ、友達、恋人ときたら、次は結婚というステップもあるだろうけれど、私のこだわりの強さから、一緒に暮らすことはまず無理だろう。

私は、自宅マンションの部屋の中には誰も入れたことがなく、相手が夏川さんでも、自分の部屋に招きたくはない。

散らかった部屋を見られたくないのもあるが、私物を誰かに触られたり、動かされるのがとても苦痛だということは、子供の頃から感じていた。

昔、母親に子供部屋の私物を勝手に動かされたり捨てられたりすると、酷くストレスを感じたが、それを言えば母親はヒステリーを起こすので、仕方なく耐えていただけ。
< 33 / 57 >

この作品をシェア

pagetop