幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
そう言われては仕方ないと思い、電話を切った。

家を飛び出すとは、一体何があったのか。

義兄である高橋さんとはラブラブだと聞いていたのに、どうしたのか。

そういった内容のFAXを送信する。

1時間後、ラーメンを啜っていたら、FAXの流れる音が聞こえてきた。

「オリエにまで迷惑かけてごめん。実は、新婚当初では考えられなかったような酷い喧嘩が日常茶飯事になっていて、別居の話も出てるの。でも、旦那は激務の割に収入が少ないし、私も働ける体調ではないから、それもできない。正直、まさかこんなことになるなんて思わなかった。新婚当初、無理をして頑張りすぎた結果、こんな悲惨なことになってしまって…。やっぱり呪われた家系なのかな。三世代に渡って結婚に失敗するなんて」

くせのある丸い文字で、そう書かれてあった。
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