幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
そう言われると、私の望みも、ただ夏川さんとずっと一緒に居たい…それだけだ。

「違わないけど…」

「だったら問題ないじゃない」

「でも、夏川さんはつらくないの?私のことが好きなら、一度キスしただけの関係なんて…」

「つらくないよ、ちっとも」

そこまでキッパリ言い切られると、もう何も言えない。

「それに…オリエちゃんに対して、本当の意味では何も望んでないわけじゃないしね」

「何?私に出来ることなら何でも言って」

「ずっと一緒に居てほしい」

「…それだけ?」

「それだけだよ」

にわかに信じがたく、黙ってしまった私に、

「オリエちゃんを好きな理由なら、いくらでも挙げられるよ。でも、そんなのは全部後付け。具体的な理由があって好きになるとしたら、それは本物じゃないと思う。それと同じで、相手に何かを望まないと一緒に居られないのも、やっぱり違うと思うから」
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