幾度ものキャトルセゾンを見送って【新作】
私は、施設職員の一人とたこ焼きの屋台を担当することになった。

その施設職員というのが、夏川さんだ。

これぞ、爽やかな好青年のお手本といった感じで、他の25歳ぐらいの人と比べて精神年齢が高く感じられた。

「この時期に、たこ焼きの屋台なんて、暑いでしょう?こまめに水分補給してね」

夏川さんは、私のことを終始気遣ってくれていた。

お祭り最終日には、職員とボランティア合同の打ち上げがあり、

「もしよかったら参加しない?」

夏川さんが誘ってくれたので、初めて飲み会というものに参加することになった。

一次会の居酒屋では、夏川さんが隣の席だったお陰で、初めての宴席でもリラックスできた。

「仕事中は慌ただしくて、あんまり話せなかったけど…地元の学生さん?」

「いえ、まだ仙台に来たばかりのプータローです」

「何処から来たの?」

「金沢です」
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