守ってなんて頼んでいません! 〜学園の治安は、特待生の平和にかかっている!?〜
「え、えぇ……まぁ」
「大変ですわね? 噴水に荷物が落ちてしまうなんて」
(……え?)
廊下で談笑していた女生徒の言葉が引っかかった。
中庭の噴水は、教室の窓からでないと見えない。
廊下にいる彼女達が、私のカバンが丸ごと噴水に捨てられているということを知っているはずがないのだ。
(あぁーーこの人達が犯人なんだ)
頭の中で推理を終えると、自然と笑みが溢れてしまった。
「あら? 一体どうなさったの?」
私が笑ったことでピクッと表情をこわばらせた。
今度は、私の方がにっこりと余裕たっぷりな笑みを浮かべた。
「ずいぶんと暇なんだと思って。くだらないことに時間を割く頭があるって羨ましい」
そう言い返すと、女生徒は顔を真っ赤にして怒ったが、そんなことに気を取られている時間はない。
私は再び走り出した。