【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

占い師マキラは亡国王女


 輝く灼熱の太陽の下。
 街のすみっこにある、小さいながらも二階建ての日干しレンガの家。
 昼間だが薄暗くされた部屋に、キャンドルが灯り、二人の女性の影があった。

「マキラ先生……今日もお願いします」

 しくしくと泣くのは、パレオ姿で褐色肌の相談者。

「えぇ、今日もよろしくお願いしますね。まずは涙を拭いて」

 優しい微笑みと優しい声に、相談者は頷いてハンカチを受け取った。

「はい……あの、今日は別れた彼とのことで相談があるんです……マキラ先生、聞いてくれますか?」

 マキラと呼ばれた女性は、きれいな薄布のワンピースを着て、ベールを頭からかぶり、フェイスべールもして口元を隠している。
 マキラの占いセッションが、これから始まるのだ。

 どんな世界でも、恋愛の悩みは尽きることはない。

「もちろん! 大丈夫。ゆっくり話をしましょうね。今日も暑いわねぇ。さぁ冷たいミント水をどうぞ」
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