亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

 しばらく歩くと、ゆったりと流れる大きな河がある。
 上流の方では酒場も作られ、キレイな外灯も作られているが此処はもう暗い。

 暗い河川敷の原っぱ。
 ぬるい風が、マキラと男たちの頬を撫でる。

「誘ってやがるぜ。この女」
「なんだ。お前が商売女だったのか」
「そういう事かぁ~どこに小屋がある?」
「すぐに裸にひん剥いてやるぜ~ひっひっひ」

 風に揺られてマキラのワンピースが身体に張り付くと、彼女の豊満な胸とスレンダーな腰を見て男達が興奮し出した。

「バカな事ばっか言ってるんじゃないわよ。最初は店に案内してやろうかと思っていたけどね。あんな犯罪自慢されたんじゃ黙ってられなくなっちゃった。成敗してあげる」

 綺麗なマキラの瞳が、怒りの炎を映す。

「なんだと……」

 マキラから膨れ上がる怒りの殺意に、男達は身構え腰の剣に手をやる。
 既に剣を抜いた男もいた。

「丸腰の女が生意気な!!」

「丸腰?」

 マキラが紅色のベルトに手をかけると、しなやかにうねる剣へ変化した。
 鞭のようなベルト剣。
 マキラの国では儀式の舞や呪術にも使用され、王女であるマキラは護身術としても幼い頃から叩き込まれていた。
 鍛錬も毎日、誰にも見られないように壁を作った裏庭でしている。

「なんだあの剣……」
「はったりだ! あんな剣すぐにへし折って犯してやろうぜ!!」
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