【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
「覇王様……我が国『トラプスタ』は軍事力が弱く、対策をするにも遅すぎました。近くに『ホマス帝国』がありながら……戦いを避けて怠慢をし、国を滅ぼしたのは私達王族の責任です……どの国も全部、その国の人の責任なのです……」
そう言い出すと、また涙が止まらないマキラ。
でも、そうなのだ。
国を守れなかったのは、その国の王の責任だ。
わかっている、わかっていたのだ。
「マキラ」
「だから覇王様は何も悪くありません……! 恨むなら自国の不甲斐なさ、次に恨むならホマス帝国。でも帝国もなくなって、世界は統一された……。国が滅んだ事を死んでいった母の責任だと思うこともできなくて……私は、私は……帝国を憎んで、世界を平和にしてくれた覇王からも目を逸らして、なんとか自我を保っていたの……私は、なんて情けなくて汚い女なの……ウィンタールと同じよ……誰かのせいにして……汚い……元王女です」
「……汚くなんかないよ。君の辛さがどれだけのものだったか。自分の国を亡くして、世界が統一され平和になったからと、すぐに受け入れられる人間などいない……。俺の国も王の後継者達が全員亡くなり、国が傾きかけた。俺は養子だったが、半身を焼かれるほど苦しかったよ……王女の君の辛さは、君にしかわからない。……精一杯生き延びた君を、誰が責められる?」
「……うっ……」
嗚咽を堪えきれない。
「誰にもわからない辛さを、君は一人で耐えてきたんだ……」
「ううっ……優しくなんかしないで……私は……」
「いいんだよ。覇王なんか毛嫌いしたって、それで君の辛さが少しでも和らぐのなら」
「……覇王様……」
シィーンは優しく、マキラの涙を拭う。