【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
「愛の呪縛だ。君を想うと暴君になってしまいそうだよ。俺の愛でがんじがらめにして、自由になんかさせたくない。俺の傍から一歩も離れさせたくない……嫌だと言っても……このまま閉じ込めておきたい……俺だけのマキラ……」
「シィーン……」
「他の男になど指一本触れさせたくない……これは君が悪霊……小悪魔のように可愛いからだな。こんな呪いなら大歓迎だよ」
「もう……」
シィーンは笑って、ぎゅうっと抱き締めてくれる。
出逢った頃から大好きだった温もりが、染み込んでいく。
「あの男も八つ裂きにするのをなんとか耐えたが……殺しておけばよかったなと今は思う」
「……ルビーニヨンの栞が守ってくれたの……」
「これだね……」
シィーンがそっと、ルビーニヨンの栞を渡してくれた。
マキラを助ける際に、忘れずに回収してくれていたのだ。
「どうしてあの場所がわかったの……?」
「ルビーニヨンには、俺の聖なるオーラを少量込めたんだ。だから追跡できる。聖なるオーラは太陽によって少し力が増すからね」
だからそれを辿ってシィーンは、マキラの家に訪ねてくることができたのだ。
「でも今回はもう込めた力もほぼ飛散していて……それでも君の声が聞こえた。今回は君の聖なる力と、かすかに残った俺のオーラが共鳴したんだ。近くにいたおかげもあって、俺はすぐ駆けつけることができた……俺と君の愛の結果だ」
あの時に、つい叫んでしまった。
マキラも無意識に聖なる力を発動させて、栞のルビーニヨンに僅かに残ったシィーンのオーラと共鳴したんだろう。
それを感じた瞬間に、シィーンは覇王の力で駆けつけた。
世界統一した後も、彼の力は増し続けている。
「……私、死ぬ前に貴方に……会いたかった……」
「これからも、ずっと一緒だ」
「……シィーン……」
「俺を愛しているんだろう?」
何も言えないマキラを力強く抱き締めて、そのまま口づけをされる。
無理やりに、涙を流しながら手放した愛が、戻ってきた。
冷え切って絶望していた心に流れる、優しい愛。
温かい彼の腕の中で、マキラも生きるべき場所が此処だと思えた……。
もう離れたくない……この腕の中で生きていきたい。
溢れる愛と、温かい涙。
「……シィーン……えぇ……愛しているの……貴方を……」
「あぁ、わかっているよ……マキラ……全部、わかっている……」
溢れる涙に、シィーンは口づける。
二人の心を愛が結ぶ。
傷ついたマキラの心を癒やすように、シィーンは優しくそして情熱的に彼女を愛した――。