【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
二人の愛は強さに変わる
シィーンの腕の中で眠ったマキラ。
そして彼の優しい瞳に見つめられて、目を覚ました。
「シィーン……」
「おはよう。俺のマキラ」
夢じゃない。
離れていた時に、夢にシィーンを見て起きる朝は残酷なほどに辛かった。
「……おはよう……私のシィーン」
マキラの答えに、シィーンは嬉しそうに笑って抱き締めてくれる。
じんわりと滲む……幸せ。
しかし、マキラの心に影を落とす心配事があった。
「マキラ、少し前に連絡が来たんだ」
「なにかしら」
どのことについての連絡だろうか、とマキラは少し緊張する。
「ウィンタールに襲われた侍女だが、近くの人がすぐに助け、救護院の者が手当をしたおかげで助かったようだ」
「ほ、本当!? 良かった!!」
「彼女も体術を学んでいたから急所も避けていたし、傷も浅かった。ウィンタールの前では、死んだように振る舞ったらしい。救護院の手当も迅速で、もう大丈夫だ。赤ちゃんと旦那さんと病院で一緒に過ごしているようだよ」
「あぁ……よかった……一緒に苦労を共にした大事な友人なの……赤ちゃんからお母さんを奪うことになるのかと……怖かったわ」
マキラは力が抜けたように、安堵する。
「彼女は手厚く保護していくよ。安心してほしい」
「ありがとう……! でもキュウゴインってなに? それによく周りの人も助けてくれたわね」
戦乱の時代では、血の流れた怪我人でも助けるものなどいなかった。