【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

「まぁ今は監視をしている。何か企てる事はできないし、させないさ。ハルドゥーンは監視のために護衛として付けていたのだが、俺が思っていた以上に、女性の扱いが苦手で小間使いのような事をさせてしまった……彼にも君にも申し訳なかった」

 多忙な覇王を、姫のワガママに巻き込みたくなかったのだろう。
 まさか名誉である城への召喚を、マキラが断ると思わなかったに違いない。

「それはもういいのよ……将軍もお悩みになられたでしょうね……これからエリザ姫はどうするつもりかしら」

 ハルドゥーンは責任を強く感じているらしく、マキラからも声をかけたいと思っている。

「君との婚姻を宣言すれば、さすがに故郷へ帰るだろう」

 泳がせて尻尾をつかむ、とシィーンは言う。

「そうなのね……でも、みんなへの婚約発表は慎重にした方がいいわ」

「う~ん……俺はすぐにでも婚儀を執り行いたいんだが」

「将軍達への内密な婚約発表だけでも、いいじゃない。それだけでも私は緊張しちゃうわ」

「そうだな。必ずみんな祝福してくれるよ」

 シィーンの昔からの側近達だけに、まずは婚約発表と経緯の説明をする事を二人で決めた。
 
「姫には怪我をさせないように剣を落としたけど、私はそのまま逃げてしまったの。大丈夫だったかしら」

「彼女に怪我はないよ。エリザ姫の剣技は凄まじいものだ。君が無事で本当によかった」

「ふふ、剣技で彼女なんかに負けないわ」

「俺の妻は世界最強だな。でも今後は絶対に危ない目になど合わせない……俺がずっと君を守る」

「私も貴方を守りたいのよ」

 健気なマキラの髪を、シィーンは愛しそうに撫でる。

「今度こそ、賭けに勝ったかな」

「えぇ、貴方は負け知らずね」

「これからも勝ち続けるよ……」 

 マキラを自分のものにする……そんな愛の賭け事にもシィーンは勝利した。
 甘く深く……濃い口づけを、二人は交わす。

 そして数日後に行われた内密な婚約発表では、将軍たち皆が祝福してくれた。
 エリザ姫にも、シィーンから伝えたが何故か彼女はまだ帰らないようだ。
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