【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
◇◇◇
シィーンの宮殿で、マキラとの再会を喜ぶ仔虎二匹と数日を過ごす。
ウィンタールから受けた久々の恐怖に悪夢を見ることもあったが、城から逃げ延びた時と比べれば、大した傷にはならなかった。
シィーンの業務は忙しさを増して、昨晩は帰ってこれなかったが昼食時に休憩を兼ねて宮殿に戻ってきたくれたようだ。
手には色々な書類を持っている。
マキラも仔虎達も、すぐにシィーンを出迎えて抱き合った。
「忙しいのね」
徹夜明けというのが、見てわかる。
しかし、彼は疲れも見せずマキラに口づけた。
「あぁ。ウィンタール絡みの調査も続けているんだが……少し確証がもてたことがあってね。君に伝えることがある」
「えぇ。なにかしら」
「……君のお母さんは……トラプスタ女王は多分生きている」
「えっ……う、うそ……」
「ホマス帝国は、先読みの力を使うために女王を殺さずに、生け捕りにしたようだ。俺が世界統一をしたのは、六年前。まだ十七の俺を世界の王達が認めるわけもない。一番の軍事国だった帝国の者達は、影で反乱を起こす計画を立てていたんだろう。そのために先読みの力をもつ君のお母さんは……皇帝の側室ということにされ、隠されていたようだ」
「えっ……!!」
生きてることに加えて、まさかホマス帝国皇帝の側室とは……。
マキラの母は、十七歳でマキラを生んだ。
マキラに似て美しかったが、マキラの父は子種を得る手段としてだけの婚姻だったようだ。
だから母が、男と寄り添う姿など想像もできない。
「今回の謀反計画については、徹底的に調べ、反乱軍の芽は潰す。反乱軍の中身は自分の権力を取り戻したい貴族や軍人達だろうからな」
「ど……どうなってしまうの……?」
「まぁ帝国側はウィンタールの勝手な暴走で、反乱の意思などないと言うだけだろう。全面戦争など起こり得ない。大丈夫だ」
「本当に?」
「俺は世界の国々の王や皇帝達を、領主として世界平和へ導く仲間として扱っている。何度も会談を重ねて、ほぼ全ての王達が今の現状に納得している。そのなかで謀反でも起こせば、どうなるかわかるだろう?」
「そ、そうよね」
反乱を起こせば、全世界の領主からの猛攻撃に合う。
お互いの立場が抑止力になっているのだ。