【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
ただ、反乱の芽は確実に摘まなければならない。
禁魔道具の流通の件もある。
今後も注意していくと、シィーンは言った。
「母は……酷い仕打ちを受けていないかしら」
「ご存命なのは確かなのだが、子供がいるという話もある」
「え!? まさか……母が……」
母と皇帝の子供……。
つまりはマキラのきょうだいという事だ。
「だから酷い仕打ちを受けていたり、命の危険はないように感じるんだ……。今後も世間に知られぬように、慎重に調査したいと思っている」
「そ、そうね……お願いします」
「あぁ、もちろんだ。マキラ、君にはトラプスタ地域の復興と領主を任せたいんだ。だから尚の事、お母さんの事は慎重に動きたい」
「え! 私が!?」
「あぁ。あそこの民はやはり帝国に支配されたこともあって、酷く傷つき、土地も荒れている。六年ではなかなか民の心がまとまらない」
「皆が……」
心が締め付けられる想いだった。
敗戦で逃げてから、トラプスタ地域に戻ったことはなかった。
「君が胸に抱いていた傷が同じように、皆にある。君なら皆の気持ちをまとめ復興できるはずだ」
「……生き残りの王女として、皆のために領主になれと……?」
「そうだ。もちろん俺も皆も補佐していく」
複雑な心境ではあった。
でも国が滅びても、自国民は生きている。
王族に恨みをもつ者もいるだろう。
しかし彼等のために、できることは元王女としてやらねばならない。
「やるわ……みんなのために、必死に頑張ります……!」
「君なら、そう言ってくれると思っていた」
微笑んで力強く頷くシィーン。
これからも覇王は、覇王として、世界を守り続けていかねばならない――。
マキラは彼を心から愛しいと思い、元王女として彼を支えていきたいと強く想う。
シィーンと一緒なら……なんだって乗り越えていける。