【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
そっと彼の頬に触れた手を、シィーンが握り返してくれた。
「綺麗な手に、指輪がよく似合う」
マキラの指に輝く、エンゲージリング。
国民への報告や婚姻の儀など、いつになるかは、わからない。
でも儀式などせずとも、二人はお互いに誓い合って心は夫婦になった。
「貴方の瞳と同じ色……とても嬉しいわ……」
「今、すごく幸せを感じるよ。俺は自分の幸せなど、いらぬと生きてきた。この身を世界に捧げるために産まれたと思っていた」
「……そんな……」
「そんな俺が自分のためだけに唯一望んだこと……君だけは離さない」
「シィーン」
「自分と愛した女性一人を幸せにできないような男が、世界を幸せに導くなんてできないだろうと、今はそう思う」
「ありがとう。私もこれから一緒に頑張っていくわ。貴方と……世界平和のためにね」
「頼もしいよ。俺のマキラ」
マキラの想いは。もう揺るがない。
二人の愛は、完璧に結ばれている。
愛が強さに、変わっていく。
「みんなの、私の覇王様……そして私だけのシィーン……大好きよ、愛してる」
「愛している。俺だけのマキラ姫」
覇王と、亡国の王女。
運命で結ばれ、愛し合う二人には、まだまだ困難苦難が降り注ぐ。
だが二人は、手を取り合い、それを強く乗り越えていく。
この物語の続きは、世界中の吟遊詩人が歌い、語り継いでいくだろう――。
「亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される」・完