亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

「折れるわけないじゃない? 本当に頭の悪い男達……!! ほら、かかってきなさい!?」

「殺せ!!」 
 
 マキラに逆上した男達が斬りかかる。
 ぬるい風を斬る、一筋の風が吹いた。
 
「うわぁ!?」
「いでぇ!!」

 気付いた時には男達の剣は、もう手には無い。

「酔っぱらいで、見たところ修行も随分してなさそうな身体だし、私が負けるわけないでしょ」

「な、なんだ?」

 まだ理解していない男がいる。
 マキラのしなる鞭のような剣で男達の剣は、河の方へふっとばされたのだ。

「ふ、ふざけんな!! 殴り殺せ!!」

 剣がなくても腕がある! と言わんばかりに次はマキラに殴りかかろうとする男達。
 あまりに芸がない。

「はぁ。くだらない男達ね」

 鞭のような剣の腹で、男達の顔面を薙ぎ払った。
 切れはしないが、強烈に鉄の板で頬を殴られたのと同じだ。
 今度は男達自身が吹っ飛んでいく。

 此処まで歩いてくる時、脳裏に浮かんだ風景と同じ男達の未来。
 しかし……笑い叫ぶ一人の男の未来が見えた。

「え……!? 嫌な予感!!」

 自分の未来は見えなくても、相手の未来から予見はできる。
 マキラはまだ一人立っていた男から、用心して離れた。

「ちくしょうーーー!! 許さねぇぞ!! 仕方ねぇとっておきを使ってやるぜ!!」

「何をする気!?」

「禁魔道具を使ってやる!!」

「禁魔道具ですって……!」
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