亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

「自分のものにするって……抱くって……一体何をするつもり!?」
 
 それを思うと、初心なのに、胸が激しく高鳴ってしまう。

 マキラが王女としての受けた教育は、もちろん十三歳の国が亡くなるまでだ。
 男女の営みや性教育は、まだこれからだった。

 悩み相談のなかには、恋人や配偶者との性の悩みもあり、一般的な知識は生物の本で勉強はした。
 しかしそれ以上は、本を読むのも恥ずかしく、苦手だと悟ってからは性生活のみの悩み相談は断っている。

 シィーンのものに……シィーンに抱かれる……。
 それは……つまり……でもわからない。
 それなのに男の熱っぽさが見えた瞳……あの瞳にまた見つめられたいと何故か思ってしまう。
 
 次の日。
 占いの仕事で長時間にわたって、女性達の様々な悩みを聞いた。
 いつもよりも鮮明に、先読みをすることができ、彼女達の心に寄り添うことができた。

 色々と自分の心が乱れている自覚があったので、マキラも少し安心した。
 占いができなくなれば、自分の力で生きていくことなど無理だから……。

 王女の頃のように、笑顔で手を振っているだけでは生きていけないのだ。

 ルビーニヨンはまだ元気だ。
< 34 / 76 >

この作品をシェア

pagetop