亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

 でも、でも……。
 マキラの想いは揺れる。

「こ、今夜だけなら……」
 
「今夜だけ?」

「……えぇ……でも、あの私は……その」

「わかっている。君が俺をもてあそぶ気持ちで、そう言っているわけではない事くらい」

 そう。
 決して、遊びで一夜の関係を求めているわけではない。
 理由を聞かれたら、どうしよう。
 でもシィーンは何も言わない。

「わかったよ、マキラ」

 真剣な目で見つめられ、マキラも見つめ返す。
 
「君がそう、望むなら」
 
 一夜限り……それがマキラの願い。
 シィーンはそれを受け入れた。

「好きだマキラ」

「……シィーン……私も……」

 二人の唇が近づき、重なる。
 ぐっと強く抱かれて、舌が絡む。
 マキラも拒まずに、熱い口づけが続く。

 舌が絡むだけで、ゾクゾクと快感が湧いてくる。
 唇だけの口づけよりも、もっともっと魂が近くに感じて……。
 シィーンの雄の部分が、強く自分を求めているのが伝わって、身体が熱くなる。

「ん……っはぁ……」

「可愛いな……マキラ」

 二人の唇に唾液が伝った。
 一生懸命にシィーンの口づけを受け止めたマキラの唇を、シィーンが指で拭った。

「今すぐ、君を俺のものにしたい……」

「……えっと……あの……。……し、寝室は二階なの……」

 さすがに初心なマキラだって、どんな場所で愛し合うのかくらいはわかる。
 心臓が弾け飛びそうに、ドキドキして熱くて堪らない。

「わかった、じゃあ行こうか」
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