亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

甘い甘い時間


 小鳥のさえずりに、熱い日差し。
 部屋には冷却魔法がかかっている魔石のオブジェがくるくる回っていた。 

 シィーンの逞しい褐色の腕に抱かれて、朝を迎えたマキラ。
 
「ん……」

 一瞬、どこかわからなかったけど自分のベッドだ。

 彼に優しく激しく愛されて、情熱的な夜を過ごした。
 初めての刺激と快楽なのに、マキラはシィーンの腕の中でたくさん乱れてしまった。
 思い出すだけで、頬が熱くなる。
 
 密着した素肌に、二人の香水と汗が混ざった匂い。
 恥ずかしくなったマキラは、何か着た方がいいかしら……と起き上がろうと動いた。

「どこへ、行く……?」

 まだシィーンも寝ていると思っていたのだが、優しく髪を撫でられ頬にキスをされた。

「シ、シィーン……あの……何か着たほうがいいかなって」

「何故……? おはよう、マキラ」

「おはよう」

 何故と言われてしまった。
 シィーンの大きな手。
 昨晩のことを思い出して、恥ずかしくて顔をそむけてしまう。
 そんなマキラを、シィーンは後ろから抱き締める。

「身体は大丈夫かい?」

 ベッド脇のテーブルに、シィーンが持ってきてくれた水差しがある。
 喉がカラカラだったので、二人で飲む。
 喉が乾いていたのは、あんなに甘い声を出してしまったせいだ……。
 
「えぇ……なんとも……なくはないけれど痛いとかじゃないわ」

 シィーンに愛された身体。
 彼と一つになった時に乱れすぎて、身体のあちこちが重い。
 でも、幸せな疲れだと思う。
 下腹部の違和感も、彼のものになった証だ。
  
「よかった……昨日の君は美しく綺麗で最高で……今の君も最高に可愛い……うん、そそられる……」

「え……あっ……シィーン……待って」

「うん……待たないよ」
 
 シィーンの唇も、指も、何もかもが、マキラを愛するためにあるようだった。
 昨晩の続きのように、マキラは愛を囁かれながら、また愛される。
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