亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

 仔虎達が何か気付いたように、玄関の方へ走っていったのだ。
 マキラも一緒に追いかけると、やはりシィーンのようだ。

「ただいま! 少しの休憩だ!」

 昼過ぎに、一旦シィーンは戻ってきたが本当に忙しいようだ。
 それでもマキラに愛おしそうに口づけて、新しい服を着た彼女を抱き締める。

「なんて綺麗なんだ……まだまだ仕事が残っているのに、また君が欲しくなる」

「こんなに豪華で素敵な服、ありがとう」

「俺の恋人は女神かな……」

 お腹が露わで胸元も強調される服は、恥ずかしかったがシィーンが喜んでくれるのは嬉しかった。
 
「私もこれから自分の家に戻るわね」

「夜には……此処に戻ってくるか?」

「……戻るわ……私も貴方と一緒に眠りたいもの」

「そうか、嬉しいよ。マキラ……この時間、あと少しだけでも君を愛したい……」

 シィーンがマキラの胸元に口づけて、口づけの花が咲く。

「あっ……もう、元気なの? シィーンは絶倫すぎよ……」
 
「だって、可愛い君のおへそが、俺を誘ってくるんだ……嫌かい……?」

「もう、えっち……ん……嬉しいわ……時間は大丈夫?」

「ふふ……あぁ、大丈夫。大丈夫にさせるよ……」

 シィーンの雄々しい元気さが、マキラには嬉しい。
 愛する人に欲情して、求め合う。
 単純で明快な愛情が、ただただ愛しくて、二人で笑って求めあった。

< 68 / 79 >

この作品をシェア

pagetop