【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

マキラのピンチ


 壮絶な過去を生き抜いて、街の占い師として生きる平凡な幸せを手に入れた。
 それ以上を望んだ事はなかった。

 でも、運命の輪はマキラを飲み込んでいった。
 占い師として城に呼び出される手紙が来て……シィーンとの出逢い。

 初めての恋に、雄々しく情熱的な愛に包まれた。
 シィーンに激しく優しく、甘く愛されて……心の底から幸せを感じた。

 そして知ってしまった真実……引き千切った愛。
 一人ぼっちになって……そして最後は、血族に罠にはめられた。

 きっと命はない……そう思い意識を失ったマキラだったが、柔らかい布……ベッドの上で目が覚めた。

「う……こ、ここは……」

「エフェーミアちゃん……もう起きたぁ?」

「ウィンタール!! 離しなさい!! 貴方どういうつもりなの!?」

 頭痛と目眩が、目覚めたマキラを襲う。
 両手両足を縛られて、ベッドに転がされていたのだ。
 服はまとった分厚いマントのままで、身体に触れられた感触はないので安堵する。

「ん~ふ~? 僕にも最高のビッグチャンスがやってきたんだよぉ! ありがとう! エフェーミア生きていてくれてありがとう! 僕の妻よ! 一緒に幸せになろうね」

 ウィンタールは簡素な椅子と丸テーブルで酒を飲んでいたようだった。
 ベッドとその家具だけの簡素な部屋。
 どこかの大きな建物の一室のようだが、部屋には二人だけだ。

「ふざけないでよ! どういう意味!?」

「ひひ『ホマス帝国』の革命者達がお前を探しているんだよぉ。革命のために先読みの力を持ったお前が必要なんだとさ! お前を渡せば、僕は優遇されるし、お前は僕の妻として殺されることはないよ。いひひ。一生監禁されるだろうけどね。それは我慢してよ。可愛い子猫ちゃん」

 ウィンタールは、マキラが怒鳴ってもヘラヘラと笑っている。
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