亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

マキラは強い女です!

 店員を助けた事によって、荒くれ者と対決することになってしまったマキラ。

「ひひひ、案内してもらおうかぁ~」
 
 ニヤニヤと男達が立ち上がる。

「お会計をちゃんとしなさい。女将、これ私の代金よ。お釣りはいらないわ」

「マ、マキ……」

 名前を言うなと、シーッとジェスチャーをした。
 男たちは相当に酔っ払っているようで、金を落としながらも支払いをした。
 そして喚きながら、店を出たマキラを追いかけてくる。

「ババアでも楽しませてもらうか。嫌がる女に突っ込むのが俺は好きなんだ」
「観光客かもしれんぞ。金を沢山持っているかも」
「金品奪っても殺して埋めればバレないな」
「おい、ババア。今更泣いて許して~なんて聞かねぇぞ? 俺等も観光で来たわけで、俺等チームがどんだけワルだってわかってなかったようだけどよぉ~地元じゃ有名なんだぜ~?」

 男達が、今までの犯罪履歴を自慢して後ろで笑っている。
 この時期は、治安を守る憲兵も増えるんだが大通りで何かあったらしく一人もいない。
 彼らを見て、逃げていく人達を横目にマキラは顔色ひとつ変えずに歩く。
 
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