【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

覇王

 
 マキラが叫んだ時、ブルーニヨンの栞が光り輝いたのだ。
 その直後に、激しい地鳴りと共に建物が揺れた。

「うわぁああ!? な、なんだ!? ぎゃあああ!!」

 ウィンタールが叫ぶ。

「きゃあ!?」

 ドォン! という衝撃と共に建物が崩壊するのを感じた。
 バリバリと壁と床が裂けて、ベッドが宙に舞う。

 マキラは今日で何度目かの、死を覚悟した。

 しかも最後は、神が怒り狂ったような天変地異……?

 ウィンタールが吹っ飛んでいくのが見えて、マキラもこのまま瓦礫に埋もれて潰される……! と思ったが、ふわりと温かい何かがマキラを抱き止めた。

「きゃあ……!!」

「マキラ」

 恐怖で身体はこわばり、目が開けられなかった。
 でも、聞き覚えのある、優しい声。

 忘れるはずがない……愛する男の……声……。

「え……?」
 
「マキラ、もう大丈夫だ」

「シ……シィーン……?」
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