【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される
「だめだ」
「離して!」
「マキラ、それは無理だ」
「だめよ離して」
「俺は二度と君を離さない」
崩壊したアジトでの戦いは、当然にハルドゥーン将軍の圧勝だ。
ウィンタールも拘束されたのを見て、シィーンは上空からアジトから少し離れた湖の畔へ降り立った。
シィーンはマキラを優しく降ろしたが、抱き締めたままだ。
マキラの足は、押し寄せた恐怖の連続で震えている。
「マキラ、もう大丈夫だ。怖かっただろう……落ち着いて」
「た、助けてくれて、ありがとう……でも、離して……私は大丈夫……歩けるわ」
「離すわけがない」
「どうしてよ! 私が出した答えを知っているでしょ!? 私達は、もう……!」
何も言わずに、宮殿から飛び出した。
最低な別れ方だ。
マキラも自分で混乱して、一人で喚いているのがわかる。
「俺達は終わってなどいないよ」
「……お、終わったのよ……」
「君の答えの結果がこれだよ。俺達は離れられないんだ」
シィーンは胸に抱いたマキラに、優しく語りかける。
「……答え……?」
「俺を呼んでくれただろう? 君が俺を呼んだんだ」
「そ、それは……」
死のうと決めた時に、脳裏に浮かんだのは唯一人。
「何度でも言う。もう二度と俺は君を離さない」
「シィーン……」
「愛している」
温かいシィーンの聖なるオーラ。
その抱擁でマキラの聖なる力が共鳴して煌めいた。
流れ込んでくる、シィーンの優しさ。