【完結】亡国王女の占い師は、情熱の地で若き覇王に甘く優しく溺愛される

 少しずつ震えも治まってきたが、涙が溢れ止まらないし、まだマキラの気持ちは変わらない。

「だめよ……だめなんだもの……」

 マキラは否定の言葉しか言えない。
 まだ理由を言えない自分に、情けなさが募る。

「恐ろしい思いをさせて、君を失望させた。俺が悪かった……」

「ち、違うわ……違うの……うううっ貴方のせいなんかじゃない……私が……だめなの……」

「突然に真実を知って、驚かせて怖い思いをさせたね。どうか許してほしい」

 確かに、突然知った真実に驚き戸惑った……。
 でも、それが許せなかったわけじゃない。
 シィーンに対して、失望したことなど何もない……。

「違うの……違う……だめなのは私……」

「……俺は君を愛しているんだ。愛し合う二人に……何がだめなものがある……」

「だって……私……わたし……」

 シィーンは知らない。
 自分が亡国の王女で……亡国に縛られた女だと。
 ただ何も知らない町娘の占い師だと思っているから……彼は愛してくれるだけなんだ……。

 抱き締めても泣いて離れようとするマキラを、シィーンはまた抱き上げた。

「エフェーミア姫。俺が相手では、貴女にとって不足でしょうか?」

 そう言いながら、マキラの頬を伝う涙にシィーンは口づける。
 
「シィーン……貴方……どうしてその名を……」

 シィーンは優しく、マキラに微笑んだ。
 
「まずは帰ろう、俺達の家に」

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