転生先は悪妻~旦那様はお呼びじゃないの~

第5話 義弟の変化

「義姉上。いつまでこのようなことをしているつもりですか?」

 オリヴァーが公爵邸にやって来て、三カ月が経った頃。神妙な顔つきで、執務室にやってきた。
 今日も今日とて、私は執務机にかじりついて、書類と格闘していた。

 なにせあのポンコツ旦那様。いくら前世を思い出す前の私に辟易(へきえき)していたからって、経営まで使用人に丸投げして遊び惚けていたなんて! 許すまじき!

 お陰で、横領と脱税の温床(おんしょう)となっていた。オリヴァーは私の代わりに現場に(おもむ)き、お灸を添えたり、酷い場合は憲兵に突き出したりしてくれた。

 本来なら私が行くべきなんだけど、悪い噂が消えていないとか、危ないからとか言って、結局叶わず。オリヴァーの手助けの下、経営が成り立っている状態だった。

 だから、彼が愚痴を言い出すのも無理はない。

「そうね。考えていなかったわ。子供が産まれてくるまでに、屋敷から出られる算段ができたら、と思っていたんだけど……これじゃぁねぇ」

 いつまでかかることやら、と思わず溜め息を吐いた。
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