転生先は悪妻~旦那様はお呼びじゃないの~
「それならばいっそうのこと、残る算段をしてみませんか?」
「残る? オリヴァーが言ったんじゃない。『出て行かざるを得なくなる』って。忘れたの?」
「いいえ。憶えています。けれどあの時と今では状況が違います」

 そうね。今の旦那様は、愛人さんが住んでいる別棟に籠り、国の仕事。つまり、王城に登城していないと言う。まぁ、ラブラブなのは構わないんだけど……。

 まぁ杜撰な経営をしていたくらいだ。国の方も真面目に仕事をしていたとは思えない。

「自堕落な兄上の態度を、父上と母上に進言したところ、激怒されまして」
「無理もないわ」
「それで兄上を廃嫡し、俺に継ぐように言って来たんです」
「妥当な判断ね」

 オリヴァーはしっかりしているし、いい公爵になると思う。

「つきましては義姉上。俺と結婚していただけませんか?」
「うん。そうね。……って、え? 今、何て言ったの?」
「ですから、公爵を継いだ暁には、俺の妻になっていただきたいんです」
「私は既婚者よ」

 さらに言うと、貴方の義理の姉。悪妻と噂される私に求婚って、気でも触れたの?
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