転生先は悪妻~旦那様はお呼びじゃないの~
 エミリアの記憶が戻って来て知ったが、旦那様との婚姻は幼い頃、家同士が結んだもの。
 気が弱い旦那様を支えるのに強気な女性が必要、という理由で選ばれたらしい。

 強過ぎて悪妻になってしまったけどね。

 加えて子供の婚姻は、親が決めることが多い。たとえ、私が二十歳を超えていても、それは変わらないようなのだ。
 だから、オリヴァーが取った手段は正規の手順を踏んでいた。私の承諾を得ていないことを除けば。

「でも、わざわざ私を選ぶのは、止めた方がいいわ。オリヴァーの評判に傷がつくし。貴方ほどの人物なら、引く手あまたでしょう」

 兄のおさがりを貰うのは、爵位だけにしなさい、と(あん)に言ってみせた。が、オリヴァーは引かなかった。
 椅子に座る私の真横までやって来て、跪いたのだ。
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