転生先は悪妻~旦那様はお呼びじゃないの~
第2話 使用人の態度も最悪
「はぁ、部屋の場所を忘れるとか、いつにも増して冗談が過ぎますよ、奥様」
金髪男に部屋に戻るよう言われても、私にはその記憶がない。“ザイーリ公爵夫人”になったのは、ついさっきのことなんだから仕方ないんだけど……。
何? このメイド。奥様、と言っているのだから、私をどこの誰だか認識していて、これか。なるほど。
「そうかもね。貴女の態度ほどではないわ」
私は目の前を歩くメイドの腕を、目一杯引っ張った。油断し切ったメイドは、そのまま後ろに。気がついた時には、廊下に寝っ転がっていた。
薄紫色の髪が降りかかるように、私はメイドを見下ろす。
「どう? 己の立場は分かって?」
「旦那様が愛人を連れて来るからって、気でも触れたんですか!」
「まぁ怖い! 私は旦那様の愛人が、この屋敷に来ていただいてもいいと言ったのよ! その愛人との時間を作りたいから、領地と商会の経営を、私に任せてくださったのに! 気が触れただなんて、そんな悲しいことを言うの!」
私はわざとらしく大声で言った。すると案の定、わらわらと使用人たちが集まり出した。
金髪男に部屋に戻るよう言われても、私にはその記憶がない。“ザイーリ公爵夫人”になったのは、ついさっきのことなんだから仕方ないんだけど……。
何? このメイド。奥様、と言っているのだから、私をどこの誰だか認識していて、これか。なるほど。
「そうかもね。貴女の態度ほどではないわ」
私は目の前を歩くメイドの腕を、目一杯引っ張った。油断し切ったメイドは、そのまま後ろに。気がついた時には、廊下に寝っ転がっていた。
薄紫色の髪が降りかかるように、私はメイドを見下ろす。
「どう? 己の立場は分かって?」
「旦那様が愛人を連れて来るからって、気でも触れたんですか!」
「まぁ怖い! 私は旦那様の愛人が、この屋敷に来ていただいてもいいと言ったのよ! その愛人との時間を作りたいから、領地と商会の経営を、私に任せてくださったのに! 気が触れただなんて、そんな悲しいことを言うの!」
私はわざとらしく大声で言った。すると案の定、わらわらと使用人たちが集まり出した。