病んじゃう私と幻覚JK

登場人物と設定

「沙夜おはよー!」
親友の久美が元気いっぱい挨拶をする。
「あっ、久美おはよー!」 

沙夜は、桜高校三年生だ。この学校を選んだ理由は校則がとにかく緩いこと。厳密には校則が緩いわけではなく、教師が生徒を制御しきれていないというのが正しい。
生徒の殆どが派手な格好をしている。

親友の久美は隣の席だ。久美は正統派アイドルみたいな顔をしているのにも関わらず、テニス部に所属している為、常に日焼けをしている。私は久美が大好きだ。

彼女は私と違っていつも明るく気分のムラも無い。そんな久美にいつも励まされている。

「ギャハハ!おっ、沙夜来たじゃん。おはー。」
キラキラ系女子の桃香がこちらを振り向き挨拶する。
いつものように桃香は、陰キャ男子の机に座りながら一軍グループと話している。

私は桃香が苦手だ。
桃香は私が人生何周してもなれないモデルのような容姿をしているが、金髪・ミニスカでナンパは日常的にある。
しかし、絶望的に性格が悪い。
何よりあのギャハハという笑い声を聞くたびに不安になる。
彼女とは今年初めて同じクラスになったのだが、後ろの席にいて何かある度に話しかけてくるようになった。
最初当たり障りのない会話をしていたが、桃香の反応が悪かった為、クラスメイトのグチを話したら一気に彼女のワクワクが伝わってきた。そう、桃香は悪口が大好物だ。

休み時間になるとクラスのルーティンがある。一軍グループがいじめをすることだ。
今日も桃香を中心としたメンバーが、オタク女子をいじめている。
いじめの内容はシンプルで、ターゲットを中心に座らせて囲むような(サークル)輪を作り、罵詈雑言浴びせるというもの。
教師は実態はあるもののいじめを黙認しており、教室にいても気配を消している。

それをボーっと見ていると私は気分が悪くなり猛烈な吐き気を催す。

正義感が強い久美は最初こそ止めに入ったが、自分の無力感を察し、今では何もせずただ傍観している。
私も同様だが気分が悪くなる為、まともに見ることすら出来ない。

学校が終わると急いで帰宅する。
家だけが唯一安らげる神聖な場所。
そして、私には味方がいる。
首を吊った私だ。
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