婚約破棄される令嬢の心は、断罪された王子様の手の中。
 それでも良いから一緒に居たいくらいに、好きだった。もうこれからは、彼を嫌いになっても良いとほっと安心している。

 いずれ、ジェレミアのことを聞いていても何も思わなくなる。とても好きだったから、そうなってしまうことが怖かった。

 ジェレミアが私との婚約を破棄するなんて言い出さなければ、私だって何もしなかったのに。

「ミレイユ。待ってくれ! これは……一体、どういうことだ」

 私は急な事態を把握出来ずに居るジェレミアを冷静に見た。

 ……本当に容姿は素敵なのよ。姿は私の思い描く理想の王子様だもの。

 けれど、私と結婚しないことを選ぶのであれば、ここで断罪するわ。

 性格的には、やられっぱなしは性に合わないもの。

「あら。ジェレミア。私と婚約破棄したかったのでしょう。ええ。望み通りに婚約破棄してあげます。ただし、ジェレミア側の断罪を以て、婚約破棄とします。だって……私は貴方のことをとても好きだったのに、こんな目に遭わせようとしていたなんて! 酷いわ。ジェレミア。私の気持ちは、貴方にもわかっていたはずよ」

「ちっ……違うんだ! ミレイユ。待ってくれ。俺の話を……」

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