人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~

第21話 心配と気まずさ

 それからというものの、私はユベールの一挙手一投足に反応するようになった。いや、ユベールが私の、というべきだろうか。

 いつものように私は、トコトコと室内を歩いていた。すると突然、僅かな隙間に足を取られてしまった。まだ器用に体を動かせない私は、そのまま床にご対面、ではなく顔面衝突。

「リゼットっ!」

 人形だったから、そこまで大きな音はしなかったが、足音が不自然に消えたからだろうか。ユベールが駆け寄って来た。

「大丈夫!?」
「はい。でも洋服が……」

 少しだけ破けてしまった。ユベールが私のために作ってくれた、フリル控え目のベージュと白のエプロンドレスが無惨にも。さらにいうと汚れは凄いことになっていた。

「洋服ならまた作ればいいよ」
「でも……」
「気に入っていたのなら、同じのを作るよ? それとも直した方がいい?」

 これを直すのは手間がかかる。それなら同じ物を作ってもらった方が、ユベールにも迷惑がかからない。何せ、次から次へと私の洋服を作るから。
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