人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~

第41話 新しい土地で再出発

 魔術師協会の本部を有する街、アコルセファム。
 もっと近代的な街だと想像していた。が、実際は思った以上に古風な街並みだった。

 目に入る家々が、どれもレンガ造りだったからだろう。またお店まで同じ造りをしているものだから、まるで隠れ家か何かに思えて仕方がなかった。

 また背の低い家ばかりが並んでいるのも、その要因の一つだ。これは魔術師協会の本部があるからだと、サビーナ先生は言っていた。

 本部という名称だが、その実態は研究塔に近く。常に魔法の研究をしているため、よく爆弾、もしくは魔法の一端が飛んでくるんだそうだ。
 そのため、背が高い建物だと被害が出てしまうことがあるため、皆、同じ高さに決められていた。魔術師協会が町全体に結界を張る、というただそれだけの利点のために。

 つまりこの街にとって魔術師協会は、有り難いのか迷惑なのか、分からない存在なのかもしれない。これからそこで働く身としては、前者であってくれればいいけれど。

「さぁ、ここが私たちの家よ」
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