人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~
「へぇ。意外とサビーナさんってズボラだったんだね」

 その日の夜、私は一部始終をユベールに話した。
 サビーナ先生では、仕事の説明をきちんとできるのか怪しいため、それ用の人をつけてくれること。毎日、魔術師協会本部にサビーナ先生を連れて来ることもまた、私の仕事なのだと、熱弁を振るわれたことなどを。

「うん。でも、お陰で歓迎されていることが分かって安心したわ。サビーナ先生の紹介だから、断り切れずに承諾したって可能性も否定できなかったから」

 何せ、魔術師協会の理事を務めている。権力を振りかざす人ではないけれど、今回は緊急事態に近いものだったから、心配していたのだ。

「それじゃ、僕の方も多少は安心していいのかな。まだ、仕事ができる体制じゃないから、相談しに行けないけど」

 作業台など、荷物を搬入したからといって、ユベールの方はすぐに仕事を再開することはできなかった。配置場所など、どこをどう使おうか、色々と悩んでいるらしい。
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