人形にされた伯爵令嬢~婚約破棄された落ちこぼれ魔術師は時を越えて幸せを掴む~
第2章 誰?
第6話 見つけた
「さぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」
晴れ渡る空の下、広場の端から客引きの声が聞こえてきた。周りにはたくさんの人々の姿があったが、誰もその声に見向きはしない。
それもそうだろう。男がいるのは露店。しかも、サーカス団のテントと勘違いしてしまいそうな造りだった。
開け放たれた入口から見えるのは、背の高い長机。
こんな怪しい露店に、誰が近寄るというのだろうか。男は一向に集まって来ない客に痺れを切らせ、店の外に出てきた。
すると、一人の少年が前を通り過ぎていく。それも上品な服を着ているではないか。
男は目を輝かせて、声をかけた。
「そこの坊っちゃんもいかがですか? 世にも珍しい、喋るばかりか魔法も飛び出る人形を、見ていきませんか?」
銀髪の少年は、周りにいる人々と同じように、無視を決め込んでやり過ごそうとした。しかし、ある言葉を耳にした途端、立ち止まった。
「人形?」
紫色の瞳が男を捉える。男の方は、獲物が引っかかったように、ニヤリと笑った。
晴れ渡る空の下、広場の端から客引きの声が聞こえてきた。周りにはたくさんの人々の姿があったが、誰もその声に見向きはしない。
それもそうだろう。男がいるのは露店。しかも、サーカス団のテントと勘違いしてしまいそうな造りだった。
開け放たれた入口から見えるのは、背の高い長机。
こんな怪しい露店に、誰が近寄るというのだろうか。男は一向に集まって来ない客に痺れを切らせ、店の外に出てきた。
すると、一人の少年が前を通り過ぎていく。それも上品な服を着ているではないか。
男は目を輝かせて、声をかけた。
「そこの坊っちゃんもいかがですか? 世にも珍しい、喋るばかりか魔法も飛び出る人形を、見ていきませんか?」
銀髪の少年は、周りにいる人々と同じように、無視を決め込んでやり過ごそうとした。しかし、ある言葉を耳にした途端、立ち止まった。
「人形?」
紫色の瞳が男を捉える。男の方は、獲物が引っかかったように、ニヤリと笑った。